良い楽器の世界5

ホセ・ラミレス三世

ラミレスはサビーカス、セラニート、マノロサンルーカルなど、フラメンコに限らず多くのギタリスト達が弾いていた。
表板は杉が多く使われている。太い竿、太い音で、ややクラシック寄りな印象を受ける。1984年当時はコンデ派かラミレス派に分かれる話がよく出ていたが、私は両方持ち、比べるのが楽しい。

マドリーに住んでいた頃、私はコンデの両用を使っていた。
ちよっとした微調整とメンテナンスをしてもらおうと思い、コンデ(グラビーナ)の店に持って行った時に、大丈夫何も心配ない!と言われ、少しがっかりして帰りかけたが、自分自身心の中で納得がいかず、ラミレスの工房に遠慮がちに持って行った。
ラミレスは誰が作ったギターかは関係ない!と、自信の有る態度で快く引き受けてくれた。優秀な弟子も何人かいて、心の広い雰囲気を感じた。
コンデと比べるのは申し訳ないが、作品だけでなく客の応対にもムラの少ない一級品だと思う。

良い楽器の世界6